【レコードとわたし】フリーボ – Smoking Blues

2023年アナログ再発。新宿ユニオンJ-POPストアにて。

2024年の最初の買い物。レコードに限らず、あらゆるもの含めて、お買い物初め。

思えばこのアナログレコード探訪、ほぼ2年前のフリーボのすきまからの再発から始まったのであった。ぐるっと一回りした感。

青春の思い出みたいなものは人それぞれあると思うけど、大概は10代の頃、そうでなくても学生時代の頃の話になると思う。今回久しぶりにこれを聴いて思った。自分の一番の青春期は20代後半だったんだなあ。

イントロのどすこいギター一発で、もう心が持って行かれてしまった。あの頃の下北沢クラブQueあたりに飛んでいった。

といいつつ記憶ってのはいい加減なもんで、僕はずっとこのアルバム、「くり返す」が一番最後だと思ってた。最後に聴いてからそんな経ってないと思うんだけど。

なんだろな、「くり返す」の大団円感が大好きなんだよな。それで記憶違いしてたかな。Harvest における Words 的な。だからB面にひっくり返していきなり音が飛び出して来て、なんか寂しさがあった。

でも大好きな曲なので、B-1という最外周の、音質的に特等席にいるのは、それはそれで嬉しいことだ。

「曲がり角」は当時から引っかかるものがあった。フリーボの曲って、Bメロでグッと音程があがって盛り上がる事が多くて、おお来た来た待ってましたって感じがして、それが吉田節ってことなんだろうけど、「曲がり角」はBメロですっと音程が落ちて、最初聴いた時に、裏をかかれた気分になって、すごい面白かった。

ギターも石垣くんにしてはヘロヘロな感じで、ピッチがあやしくてそれがエモーショナルでとてもいい。ピッキングハーモニクスも最高だ。

Court And Spark を聴いてたら突然飛び出してきた Raised On Robbery、みたいな、いい違和感がある。

アンプが他の曲と違うのかなあ。この曲だけすごい湿気が多いんだよ。音がしめっててわずかにグイッとピッチが外れて聴こえる感じ。真空管ぽさが強い。電気信号がいい塩梅でちゃんとしてない感じ。

で、このアナログ盤。思ったより音がぼんやりしてるなーと思ったけど、試しにいつもの中古レコードと同じように洗ってみたら、シャッキリした気がする。まあプラシーボも趣味の世界では大事だ。

しかし、ギター、いい音だなあ。ジェイ・ホークスとか、ヴィクトリア・ウィリアムスとか、あの頃のあれこれがどんどん記憶の底から湧いて出てくる。

それらとフリーボが音楽的に似てるってわけではないんだけど。キャンドヒートとジェファーソンは全然似てないけど、同じ空気感があるじゃないですか。そんな感じ。

そう考えると、’90年代ってのは、あの頃確かにあったんだな。当時はわからなかった。

ピース。

(2024-01-10)

追記

石垣くんによると、アンプは全編フェンダーの'90年代のアンプの方のTone Master だそうな。今はデジタルで真空管をエミュレートした同じ名前のアンプが出てるので紛らわしいけど、'90年代に出たこっちは本物の真空管で、ピギーバック(フェンダーのアンプはスタックって言葉よりこっちの方が気分だ)のもの。

「曲がり角」は慣れないサムピックで弾いたんだそうな。それでか!右手が変わるだけでここまで出音に違いが出るかあ・・・。

サムピックでピッキングハーモニクスってのもすごい。この話聞いてから試してみてるけど、もう、無理。うまく指が弦に触れない。どうやってるんだろう・・・。