'76年オリジナル。新宿HMVレコードショップの110円コーナーにて。
小学校2年生の時、'78年、学校の教室では、野球帽をまぶかにかぶってアリスのチャンピオンごっこをするのが大流行した。
給食の時間、放送委員会がBGMを流すんだけど、そこでもチャンピオンはかかった。それくらいみんな大好きだったチャンピオン、当然我が家にもシングル盤があった。
当時から、僕は谷村新司に似てると両親に言われてた。でこっぱちな感じと、にやけた口元が、まあ不本意ではあったが、自分でも確かに似てる気がしてた。
斯様にお茶の間にも浸透しまくってたアリス。ある日突然、お母さんが買ってきたのがこの5枚目のアルバムだった。
チャンピオンのイメージと全然違ったけど、なんだか小学生男子の琴線に触れまくって、これは本当に本当に、聴き倒したという表現がぴったりくるくらいよく聴いた。陽水の氷の世界と一緒によく聴いた。
今回聴き直して気がついたけど、強く印象に残ってるのは矢沢透の曲だ。僕はキンちゃんの曲が好きらしい。
A-5の「僕の想うこと」は明らかに谷村・堀内の世界観とは異質。曲調はマッカートニー風のポップスで、アレンジもすごく作り込まれてる。曲のテーマが音痴な人間でも自分なりに歌ってみたいというもので、力強いアリス世界とは全然違う。
子供でも、これはキンちゃんの曲なんだろうな、この素っ頓狂な歌声もキンちゃんだろうなとわかった。
だがしかし!今回クレジット見直したら、作曲はキンちゃんで間違いなかったが、歌は堀内孝雄だった!なんと!すごいなベーヤン!芸達者じゃないか。(追記:再度見直すと、ボーカルのクレジットがなかった・・・他の曲とまちがっていたらしい)
他、B-1「音の響き」の、カーンって拍子木みたいな音のクールさ。これはキンちゃんが作詞だ。
B-3「夏の終わりに」は作詞作曲キンちゃん、素晴らしい湯加減で、全身の毛穴が開きそうである。途中のストリングスアレンジの美しさよ。
まあそんなこんなで、体にしみついちゃってるこのアルバム、今回振り返って気がついたけど、かなり自分の曲に影を落としてることがわかった。
ジンタの「スナック」*1は A-3「雪の音」*2の出だしにそっくり。聴いてて気がついたが、「古い手帳の君の名前も今では静かに見れる夜」って詞、ジンタの「よくある話」*3っぽい。夜、で終わるところとか、そもそも情景が似てる。あっちは手紙だけど。
あと、ジンタの「めがね」*4の2番の指の間から砂が云々って詞は、B-4「指」*5のイメージだと思う。
いやー自分でもびっくりしたわ。
ピース。
(2023-10-17)
追記:ポストした17日の翌日、谷村新司の訃報が届いた。
意外なほど、喪失感があって自分でもちょっと驚いている。この意外さは川島なお美の時以来かも知れない。
そんなわけでこのアルバムをまた聴いている。キンちゃんのドラムがタイトでかっこいい。音もいい。元々ジャズドラマーだもんなあ。
「音の響き」はアメリカの名前のない馬なのかなー。曲自体あまり似てないけど、狙いどころというか。こういうのは好きだ。
「帰らざる日々」、子供の頃怖くて暗くてあまり好きでなかったけど、これはクレズマーということでいいのだろうか。そう思うとかっこよく思えてきた。