【レコードとわたし】Pat Metheny Group – Still Life (Talking)

US盤’87年オリジナル。ユニオン新宿ロックレコードストアにて。

初めて聴いたメセニーがこれだった。大学生、マーブルシープで Big Deal を出したあたりだったと思う。きっかけはよく覚えてない。

当時松谷さんは、明大前モダーン的なヘヴィな音像とは別のサイケデリックってやつを追求していて、自分の中のそのイメージとこのアルバムがバチっとはまって、大いにのめり込んだ。

きっかけ、マーブルのドラムのナベちゃんに教わったのかなあ・・・。周りでフュージョン聴いてたのはナベちゃんくらいだったし。当時分家店員だったジンタの英ちゃんだったかも知れない。

当時CD再発されたヤングブラッズの Good And Dusty とどっち買うか迷って、店の人にどっちがおすすめか聞いたら文句なしにこっちだったのでこれを買ったんだった。

そんな、全然違う2枚でどっちがいいか聞かれても普通は困るだろうに、真面目に答えてくれた店長さん。元気かな。きれいに髭を整えた、喫茶店のマスターみたいな雰囲気の人だった。

笹塚の駅前の、京王笹塚ビルの1Fにあった小さいレコード屋さん。普通のレコード屋さんの隣にちょろっと構えてた、いい店だった。

京王笹塚ビルは、今は建て替わって笹塚テラスというナウいビルになってるらしい。2Fの中華料理屋とかよく使ったんだけどなあ・・・少年マガジンが置いてあって、ほぼ毎週そこで読んでた。さみしい。

それはさておき。

メセニーの名前自体は、中学生の時に買ってたFMステーションで記事を読んで知ってた。ちょうどファルコン・アンド・ザ・スノーマンが出た頃で、ベストヒットUSAだかMTVだかでも、デヴィッド・ボウイと共演したディスイズノットアメリカはちょこちょこ見かけてた。

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でもそれだけ。フュージョンの偉い人とかジャズ売り場にある人ってのも全然知らなかった。

だからStill Life を最初に聴いた時は、えらいことになっててすごいびっくりした。なんだろなー、音楽聴くようになってから人生いろいろあったけど、すごい大きい転換点の一つだったなあ。

雷に打たれたとか、よく言うあれ。陳腐だけど、ほんとにあれだからしょうがない。

それまで70年代アメリカンロック的サウンドこそ至高と思ってて、リバーブ成分多い音はあまり好きじゃなかったけど、これ聴いて、やっとデッドの Without A Net の凄さに気付けた。松谷さんが前から、ナウい方がいいじゃんって言ってた意味がやっとわかった気がしたな。

もうその頃にはすでに、先輩のサイケ伝道師・八景さんに、ボーッとする方法を教わってたのも大きい。

そんなわけなので、このアルバムは部屋で聴き、学校のサークル棟で聴き、カセットにダビングして外でヘッドホンで聴き、マーブル号のしょぼいラジカセで聴き、とにかく聴き倒したけど、それでも今回アナログで聴き直すと、今まで聴き覚えのない音が聴こえてきてびっくりした。

特にパーカッションのあれこれ。キース・ジャレットアメリカンカルテットもそうだけど、打楽器多めの音はアナログで聴くと嬉しくなること多し。

あと、若い頃はここでのギターの音、生音をマイクで拾ってミックスしてるそれはあまり好きじゃなかった。ECM時代のふんわりした音が大好きだったから、ペチペチしたアコースティックな響きがどうにも邪魔に感じてた。

今回久しぶりに聴いて、それがまあ、なんていい音なんだろうって思ったのは、歳取って苦いものが好きになるみたいなもんなんだろうかねー。こういう事があるから、聴くのはやめられないんだな。

ピース。

(2023-04-30)