【レコードとわたし】Pink Floyd - The Wall

国内盤’79年オリジナル。帯もライナーも全部揃ってるけど安かった。まあ当時たかだか15年くらい前のレコードだしなあ。タイトルが随分端っこに貼ってある。

中学生の時、マイアニメというアニメ雑誌があって、模型のコーナーが充実してた(GIジョー改良してブリタイ閣下作ったりとか)のと、映画コーナーが面白かったので、1年くらいは購読してたんじゃないかな。

ある号の映画コーナーでは、アラン・パーカーザ・ウォールが取り上げられてた。トンカチが行進するスチルがどかーんと載ってて、ピンクフロイドというバンドが壁作ってライブやったりして、それを元にした映画なんだ云々って記事。なかなか熱い語り口だったと思う。教師が子供をミンチにするところとか、当時僕はやたらと先生に逆らってばっかりのやっかいな中学男だったから、見たくてたまらんくなるのも仕方ない。

かかってる劇場の情報も書いてあったので、友達のシミキンこと清水くんを誘ってとにかくその劇場に向かったんだけど、そこに着いたら、なんと勝新のでかい顔が描かれた「迷走地図」って映画の看板が・・・。

1週間か2週間か、あっという間に終わっちゃったらしい・・・ショックだった・・・

そのまま帰るのはシャクなので、ふらふら歩いてて目に入った、「ドラゴン危機一髪」と「ドラゴン怒りの鉄拳」の2本立てに入って、それはそれで十分堪能したのであった。付き合わせちゃったけど、シミキンもジャッキー映画好きだったから楽しんだんじゃないかな。ああ懐かしい。

このドラゴンリバイバル上映も結構有名なイベントだったらしい。パンフも作られてたし。マッハ文朱がコメント寄せてるやつ。「南無阿弥陀仏の暇もない」ってコピーがついてた。いかにも、時代だねぇ。

後日、銀座の山野楽器にCDを買いに行く事があって(当時CDを買おうと思ったら山野楽器に行くしかなかった)、買ったのはデュランデュランのリオだったんだけど、そこでザ・ウォールのCDを見つけて、初めてレコードジャケットを認識した。

当時CDはLP + 1,000円の値付けで、安くて3,500円くらいだった。ザ・ウォールは2枚組だからか、2倍の7,000円の値段がついてて、ほんとびっくり。中学男にはちょっと手は出せないねー。

そんなことが立て続けにあったんで、このアルバムは僕にとってすでに伝説だった。まだ聴いてないのに。

結局高校生になって、吉祥寺で映画を先に見る事になる。感動したなあ・・・。

後々、そのマイアニメの映画コーナーを書いてたのは、学生バイトの町山智浩さんだという事が判明。宝島読者になるより前からお世話になってたとは。

曲の話もしよう。そうなるとやはり、異例のヒットシングル、Another Brick In The Wall part2 の事になるんだが、なんでこれがヒットしたのか、ずっと謎だった。地味だし。

25年くらい前かな、どういう番組だか忘れたけど、テレビで西田ひかるが思い出の曲って事でこの曲を紹介してて、へーさすがヒット曲と思ったんだけど、彼女が「これは不良の曲!って感じでしたねー」としみじみ語ってて、なるほど!と納得がいった。

不良の曲! The Wall の文脈から切り離してこの曲聴くと、横浜銀蠅みたくなっちゃうのか!確かに、歌詞はそんな感じだし、何しろ西田ひかるはネイティブだ、彼女が言うんだから間違いない。あれは英語圏ではつっぱりの曲として世間に受容されたのである。

という訳で、大ヒットの謎が解けて仏恥義理なのだ。夜路死苦!

ピース。

(2022/3/24)