【レコードとわたし】Godiego – Our Decade

‘79年オリジナル。新宿HMVレコードショップにて。また110円の箱にて発見。

あると思って信じて110円コーナーをかき分けて、最後の最後の山で発見。気分はシュリーマンだ、やったぜ。

’90年代後半、ジンタやってた頃に初めて聴いた。それまでゴダイゴは懐メロ的に聴いてたんだけど、これでその印象が大きく変わった。

タイトルの意味とかあまり気にしないで聞き始めて、1曲目が Progress And Harmony。

これって「進歩と調和」ってことか!と気がついて、発売年を見れば’79年、それで Our Decade なのかと分かって、ゴダイゴのシリアスさにようやっと思い至った。

スカッと晴れた空みたいに明るい曲調で、みんなで銀色の宇宙船に乗って飛び立つなんて夢いっぱいの歌詞で。

ほんでサビ前に来たところで、Lost Comunication なんて美メロで歌い上げて、いきなりのハシゴはずし。すごい。

Purple Poison 、70年代総括のはずが、いまだに世の中 What A Mess ! なまんまで、残念ながら賞味期限が切れないでいる。

奈良橋陽子、恐るべし。我が母校の校歌、もっと気を入れて歌えばよかったです、すみません。

ゴダイゴの中では一番聴いたと思う。思い出の一枚。特にミッキー曲が本当にいい。

アナログで買ったら、薄ペラのCD再発にはなかったライナーが入ってて超嬉しい。

CD選書とかのあの形式の再発CD、しまうのに場所とらなくていいけど、やっぱりよろしくないよなあ。

ピース。

(2023-12-03)

【レコードとわたし】Curtis Mayfield – There’s No Place Like America Today

EU盤2021年再発。ユニオン新宿ソウル・ダンスミュージックショップにて新品で。

オリジナルはバカ高いので諦めてたところ、ライノから出てるのを知った。

Discogsによると、レコジャケの運転してるお父さんがバイデンになっていて、黒人の行列の背景に「BLM」と書いてある、まさに「America Today」なイラストがついてるというので、それは再発とは言え買わねばと思って持って帰ってきたが、そのイラストは初回限定だったらしく、入ってなかった・・・残念。

これ。

とはいえ音が超いい。びっくりした。今までのイメージから逸脱するところはないけど、イメージ通りの音のベクトルはそのままに、がっつり強化された感じだ。EU盤とあるがプレスはチェコらしい。

ライノはジャケ自体にバーコードつけないからいいね。

最初に聴いたのは大学生、マーブルシープ時代ツアー車の中だった。ベースのチクワさんがソウル全般大好きで、チクワさんが運転してる時はモータウンのボックスセットから当時の新譜のアンヴォーグまで、普段聴かない世界に触れる事になった。

その一環でこのアルバムがよくかかってて、よくチクワさんが「ジャスタまんげっ」って裏声で歌って笑ってた。

そんな思い出。なんか深刻な内容なのに、どうもすみません…

ピース。

(2023-11-26)

【レコードとわたし】The Byrds – Ballad Of Easy Rider

US盤’69年オリジナル。ユニオン新宿中古センターにて。

ジャケも盤も再発なんじゃないかと思うくらいのミント。でもそんなに高くなかった。ボロボロのプロモ盤の方がうんと高い。

アナログを買い始めて、バーズはとにかくこれが欲しいと思ってたんだけど、ちょうどいいのがなかなかなくて、一年以上かかってやっと見つけた。

大学に入るまで、バースといえばマッシュルームカット時代からロデオの恋人までしか知らなかった。浪人中に図書館で借りてきたベスト盤がそこまでしか収録してなかったから。

大学に入ったばかりの頃、OBの八景さんとバーズ話に花が咲いた時、「ロデオは、あそこまでカントリーになっちゃうとなあ」なんて事を言われて、聞かされたのがこのアルバムだった。

確かに、カントリーロックのカントリーとロックがちょうどいい塩梅で、バーズってこんなバンドなんだってびっくりした。

なんたって演奏がうまい。70年代ロックっぽさが溢れてて、素直に心からかっこいいと思った。バーズはもっと「オールディーズ」的文脈で聞いてたから、そりゃ驚くってもんで。

特にガンガディン。全く別のバンドみたいだった。まあ全く別のバンドと言っていいんだろうけど。

それとイッツオールオーバーナウね。これは痺れたなあ。ジンタの子守唄のアレンジはかなり意識した。っていうかパクった。

曲それぞれみんな粒揃いなんだけど、とにかく全体通した空気感が、大学生になったばかりの、目の前がキラキラしてたあの頃のサークル棟のそれなのだ。

八景さん、イージーライダーのバラードをしょっちゅう歌ってたからなあ。

そんなこんなでこのアルバムは、八景さんとの思い出と直結している。八景さんが亡くなった時に、このアルバムに因んだ曲を作りたいと思って、実際そうしたくらい。

河の流れ、海へとそそぐ。ザリバーフロー、イッフローツザシー。

ピース。

(2023-11-13)

【レコードとわたし】Ry Cooder – Paradise And Lunch

US盤’74年オリジナル。ユニオン新宿ロックレコードストアにて。

チキスキはそこら中にUSオリジナル盤が溢れかえってるのに、これはなかなか見ない。出たらどんな値段がつくんだろうと思ったら、大したことなかった。拍子抜けの勢いでお持ち帰りとあいなった。

初めて聴いたライのアルバムがこれ。大学生の時。マーブルシープ時代、ツアー中に車中でよく聴いた。という話はチキスキの時に書いた

ライ・クーダーは高校生の頃バーボンのアーリー・タイムズのCMに出ていたのを見て知った。ちょっとおしゃれなかっこした渋いスライドギターを弾くおじさんだった。

その後NHKのBSで放送された’80年代末だかのライブを見たけど、あっさりしててあまり面白くなかったんだよなあ。だから聴こうと思わなかった。

大学に入ったばかりの頃、’90年だな、カリフォルニア・スクリーミングってオムニバスビデオがあって、その中のライを大学の先輩の家で見たんだけど、弾き語りのジーザス・オン・ザ・メインラインが、そりゃあもうかっこよくて。

バンダナ頭にすっぽりかぶってもっさりした感じで、アーリー・タイムズのしゃれこいたおじさまと全然違う。きったないかっこしたあんちゃん風情。映像はこちら → *1

それでぐっと興味が湧いて、’90年、ちょうどワーナーのフォーエヴァーヤングシリーズで安くCDが出たばかりだったんじゃないかな。それならってんで買ったのが、これだった。

まあそんなことよりとにかくケルトナーだ。

それまでケルトナーはレオン・ラッセルやマーク・ベノの音源で聴いてたから、ここでの水を得た魚のような叩きっぷりにはびっくり。スチャラカでスットコドッコイなタイム感。スワンプ仕事だとこんな跳ねたリズムはあまりないから、改めてケルトナーファンになった。

CDで聴き倒して体に入ってるので、アナログで聴いての印象の違いが顕著だ。やはりアナログはパーカッションとかアコギとかの音がきらきらと絵として浮かぶようで、とてもいい。

特にケルトナーのバスドラの音の、ぽんっと空気を押し出してる感じ、こんなんだったのかって、最初に聞いてから30年経過して感動を新たにしている。

最後のアール・ハインズのピアノも、アナログだと最後まで聴いたご褒美のようにキラキラと響いて、とてもいい。

ギターにトレモロかけると、いの一番に Tattlerのイントロ弾いちゃうね。

ピース。

(2023-11-13)

*1:キリストが電話に出たぜ www.youtube.com

【レコードとわたし】Neil Young With Crazy Horse – Everybody Knows This Is Nowhere

US盤'69年オリジナル。ユニオン新宿ロックレコードストアにて。

こいつは見かけると大体5桁が当たり前の相場感なんだけど、えっていう値段で出てた。しかも割りと高めの事が多いロックレコードストアで。

盤面に大きめのスリキズがあるけど、ヘッドホンで聴いてもノイズはわからなかったので、買っちゃった。オリジナルは諦めてたので嬉しい。

初めて聴いたのは浪人中。ハーヴェストとアフター・ザ・ゴールドラッシュの後に、国内盤CDを買った。シンガーソングライター然とした2作の後に聴いたから、シナモン・ガールでいやーもう腰抜かした。

ニールにはこれから何度も腰抜かされるんだけど。

ギターの歪みが、今まで聴いてきたそれと全く世界観が違う。なんじゃこりゃっていう。ぶにゅーって潰れて、なめらかになった感じ。エフェクターで作った音じゃとんと聴いた事ない音。もうこの頃から5E3回路のツイードデラックスなんだと思う。

ザ・バンドロック・オブ・エイジズもそうだけど、僕はこういう音が一番好きらしい。フェンダーアンプはクリーンが云々されるけど、歪んでこそ至高。

アナログで改めて聴くと、ツヤがあって湿度が高くて、とてもいい音だ。今まで聴いて来た記憶より生々しい。

中ジャケの写真、長い事見てなかったから、もうそれだけで懐かしい。かつ、CDだと各写真が分割されて数ページに分かれてたから、LPのレイアウトだと新鮮さもあって楽しい。

ピース。

(2023-11-05)

【レコードとわたし】James Taylor – Sweet Baby James

US盤’70年リプレス。新宿ユニオンロックレコードストアにて。

市場ではこれも一応オリジナル扱いになってるが、本当の初盤はワーナーじゃなくて Seven Arts 盤。まだ実物を一回も見た事がない。出たらいくらになるんだろう。

流石にこのくらいの名盤ともなると、聴く前から存在は知っていた。買ったのは浪人中かな。買うのがやや遅れたのは、なんかジャケの顔が真面目そうでいやだったのと、自分のことスイートってすげえ自尊心だなって思ってたから。

スイートなのは同じ名前の甥っ子のジェームズ君のことだとライナーで知って、すまんかった・・・と勝手に謝罪したもんだった。

最初はピンと来なかった。ギターの音も、ニール・ヤングのマーチンのゴスっという派手でドンシャリな音と比べて、中低音に寄った地味な音がつまらなかった。

すごく良くできてるんだけど、スキがないと言うか、可愛げがないというか。マッドスライドスリムは素っ裸でそこが好きなんだけど、こっちはがっつり武装してる感じ。

でもまあジェイムズ・テイラーともなると一般教養だから、何度も繰り返し聴いたもんだった。浪人中の気だるい空気ともよく合ってたし。

その後、ドラッグ漬けから復活してこの音なんだとか、Fire And Rain の裏話などが耳に入ると、どんどん面白くなってきた。やっぱり極めてパーソナルな音世界なんだろうなと思う。

ギターの音も、これがギブソンJ-50なのだと知ると、途端にそのマーチンとは違う地味な音が魅力的に響いてきた。僕は権威主義者なので仕方がない。

あとはやっぱりJT(アルバムの方)かなあ。あれを分家のタハラさんに教わってからこっちに戻ると、俄然輝き出したのをよく覚えてる。

今回アナログで初めて聞いたけど、針を落としてすぐに飛び出してくるJ-50の低音弦がすごいでかい!びっくりした。

Fire And Rainの後ろでドローンのように鳴りっぱなしの低いストリングスなんて、今までほとんど耳に入ってなかった。チェロ?コントラバスかな?

格安だった(とはいえそんな安くはない)のでちょっと不安だったけど、大事に聴き倒すぞ。

ピース。

(2023-11-03)

【レコードとわたし】アン・サリー - Voyage

‘21年再発。アナログとしてはオリジナルってことになるのかな。Amazonにて。

あれは’92年だったか’93年だったか。当時付き合ってた人が大学で写真部の部長をやっていて、学園祭に出展する写真を撮るから付き合え、後輩も来るってんで、出かけた事があった。

なんで同行したのかさっぱり思い出せないんだけど、いい気候だったし、まあ街を散歩がてらって感じだったのかなー。

それで、そのやって来た後輩というのが、もう見るからに聡明という女性で、首からさげた大きな一眼レフも凛々しくて、ジュリエット・ルイスみたいな人だった。

今じゃジュリエット・ルイスもホワイトトラッシュな人とか色々な役をやってるけど、当時の、ギルバート・グレイプの彼女のイメージ。

後輩さんとはそれっきり会う事はなかったんだけど、その時の印象が強烈だったのと、何かというと付き合ってた人が話題にするので、僕の中ではすっかり馴染みの人になっていた。

なんだったら話題にする時は馴れ馴れしくも「ちゃん」付けで呼んでいた。

その写真部で、写真機メーカーの人を招いてクリニックみたいなことをやったことがあって、その時来たメーカーの人は、しきりにそのジュリエット・ルイスさんの事を褒めていたんだそうだ。彼女が撮る写真ではなくて、彼女自身が、絵になる、表情が素晴らしい、と。

肝心の写真はどうなんだっていう話だけど、それほど彼女に相当なカリスマがあったんだと思う。一回しか会ってない僕もこんだけ未だに書けるわけだし。

時は流れて2001年、僕はバンドを解散して、初めて就職して1年経過した頃。

仕事帰りに新宿のタワーレコードに寄って試聴機コーナーをウロウロするのが日課だったんだけど、ふと目の端に入ったレコジャケを二度見した。

そのジャケに写った顔、あの日会ったジュリエット・ルイスの彼女に雰囲気が似てる、と思ってポップを見るとそこに「アン・サリー」とあった。

あんさりちゃんだ!髪がうんと短くなってるけど、間違いない。

びっくりしてすぐにヘッドホンして再生ボタンを押したらば、あまりのクオリティに2度びっくり、特にA-2のジョニ・ミッチェルの All I Want の素晴らしさ、いやーほんとびっくりした。

そこまで印象に残ってて、なぜかCDは買わなかった。それっきり今回LPを買うまで手に取る事はなかった。

思うに、2001年、就職したばかりでまだルケーチも始まっておらずで、そんな時期に、知った人のいい音源とか面白く思わなかったんじゃないかなあ。僕は小さい人間なのである。

先日ディスクユニオンにLPが中古で出ていて、今こそ買う時だと思ったけど、調べたらアマゾンで新品が左程変わらぬ価格で出ていて、本人に還元される方がよいだろうと即ポチった次第。

試聴機で見かけてから20年越し。時の流れが早い。信じられないくらい。

30年前、写真部にやってきたメーカーの社員さんの慧眼を思いつつ、噛み締めるように聴いた。

それにしても真夜中のオアシス、ギターの人がソロに挑んでいて素晴らしい。自分ならではの真夜中のオアシスになってる。

僕だったらできませんって言っちゃうなあ・・・やるとしたって、きっとコピーしそこねみたいなことしかできないと思う。手も頭も完全停止してしまうだろう。

ピース。

(2023-10-30)