【レコードとわたし】Bob Dylan – Planet Waves

US盤'74年オリジナル。レコードシティ通販で、白いジャケだけに染みが目立ってたからか、結構安かった。

CD世代としてはディラン = CBSのイメージがあるので、アサイラムのレーベルが不思議な感覚。

ディランはあまり好きじゃなかった。高校生の時に一般教養として押さえねばなるまいと思って買ったフリー・ホイーリン、ピンと来なかった。白い帯に赤い丸がついてるソニーのCD、当時は高かったけど、頑張って買ったんだよなあ。

Planet Waves のCDを買ったのはジンタ始めてすぐだと思う。ザ・バンド目当てだった。CDの帯は黒くなり例の丸マークは青くなって、値段は2,000円を切った。いい世の中になったと思った。

これをきっかけにてんでダメだったディランの曲が自分でもびっくりするくらい耳に入ってくるようになった。人間の脳みそは本当にいい加減だ。

もうひとついい加減話。浪人中から大学入った頃にかけて、クラプトンのノー・リーズン・トゥ・クライを愛聴してて、ほんと一日に何度も繰り返して聴いてたんだけど、Sign Language 、曲としては好きだったけど、演奏自体には特に思うところはなかった。

で、5年ほど経ってこの Planet Waves。Going Going Gone でそりゃもうびっくりするわけですよ。こんなギターの弾き方聴いたことない。トレモロアームってこんな使い方ができるのか。知らなかった。

とか言って、知らなかったってのは大嘘で、あれ、もしかしてこれは・・・って Sign Language を聞きなおしたら、ほぼ同じようなギターをロビロバがガンガン弾いてるではないか。

確かに記憶には残ってるんだけど、こんな面白く響いてなかった。Going Going Gone を聴いた後だと感じ方が全く変わってる。

人間の脳みその感覚、好みとかそういうのって、何か臨界点みたいなのがあって、それを超えると突然ガラっと変わるんじゃないかと思う。徐々に変わるんじゃなくて、あるきっかけで突然ガラっと変わる。

僕は子供の頃からずっとトマトが大嫌いで、飲み込むと戻してしまうほどなので絶対に食べなかった。大人になって初めてモスバーガーに入った時、知らずにモスバーガー(商品名の方)を頼んだらトマトがまるっと入ってて、失敗したーと思ったけど出されたものは残さず食べるポリシーが勝って、思い切って食べたら超美味しくて、それ以来トマトが急に大好きになった。

あれは自分でも不思議だった。モスの野菜は確かになんでも美味しい。けどモスだけじゃなくて、そこらへんの居酒屋の冷やしトマトでも美味しく感じるようになったから、僕の脳みそがいい加減なのは間違いない。

おしんこも大嫌いだったけど、キムチを食べたらそれ以来おしんこ大好きになったし。他にもいろいろある。

リトルフィートの1st聴いたら苦手だったザ・バンドが突然聴けるようになったってのもそうだな。

てなわけで、これは脳みそについて考えたくなるアルバム。そんな感じ。

ピース。

(2022/10/25)