【レコードとわたし】Nina Simone - Jazz As Played In An Exclusive Side Street Club

国内盤’73年再発。親父さんレコード。タイトルは Little Girl Blue となってる場合もあるけど、Discogs でのこのバージョンのものに倣った。

親父さんレコードの中ではこれは特に愛聴した。カセットにダビングして持ち歩いて聴いてたな。まだジャズを聴くようになる前だったけど。

僕の親父さんは、よく自信満々に間違うので困る。ただの思い違いなんだけど、すごい堂々と断定するのでこっちは信じちゃうんだよ。

すぐ思い出せる例として、高校生の時、倫理だったか現代社会だったかの授業で、映画「カッコーの巣の上で」を見る事になった。親父さんは映画が好きなので、その話をしたら盛り上がって、あれはポール・ニューマンが出てていいんだ、と教えてくれた。

もちろん主役はポール・ニューマンじゃなくてジャック・ニコルソンな訳なんだけど、僕はそのまま信じて、授業の前に友達にそう伝えてしまって、えらい恥を書いた訳だ。まあこの頃には「おとうさん、またですか・・・」って感じだったけど。

同じ頃、リドリー・スコットキャロル・ブーケを使って撮ったシャネルのCMがTVでよく流れてて、そのBGMのリズムがグッと来て、バン、バン、って刻むスネアの音が印象的で、大いに気になったので親父さんに訊いてみたら、「ニーナ・シモンだよ」って即答された。

この即答が怪しいんだ、いつも。またいい加減な答えなんだろなーと思ってた。でもニーナ・シモンという名前は覚えて、吉祥寺にあったファミリーっていうジャズ喫茶でリクエストしてみたりしたけど、件の曲には当たらなかった。

大学生になって実家を出た時に、何枚か持ち出した親父さんレコードの中にこれがあって、試しに聴いてみたら、A-1 の Mood Indigo からもう耳が離れなくなった。

そしてA面最後の My Baby Just Cares For Me、あのシャネルのCM曲だ!おとうさん、嘘ついてなかった・・・疑ってごめんよ。

てなわけでこの盤を大いに愛聴することになった次第です。

カッコーの巣の上で」、今思うと親父さんはポール・ニューマン主演の「暴力脱獄」と間違えてたんじゃないかな。それなら割りと納得感がある。精神病院と刑務所の違いはあるけど、主人公がよく似ている。

ピース。

(2022/4/22)