US盤’71年オリジナル。ディスクユニオン通販にて。
これもアナログ買い集め開始からずっと探してた一枚。オリジナルじゃなくてもなかなか見かけない。見つかってみればそんな高い買い物ではなかった。
’89年浪人中、A&Mクラシックが黄色い帯で一気に再発された時に、ユニオンお茶の水1号店はマーク・ベノをプッシュしていて、つられて買って大いにハマったんだが、続いて出たのがこれだった。
リタ・クーリッジの名前は当時も知っていて、でもそれは普通のポップシンガーとしての認識でしかなかった。だからこのシリーズで再発されて、初めて彼女の来し方というのを知ったわけ。そりゃもうびっくりしたよ。
見ればマーク・ベノの曲を2曲もやってるしデラボニのオンツアーでやってた Only You Know And I Know も入ってるしで、これは絶対いいはずと思ってすぐにレジに持って行った。
思いの外リバーブ成分多くて、バンド編成もこじんまりしてて(デキシーフライヤーズって名前を知ったのはうんと後)、思ったのと雰囲気違ったけど、それが浪人中の気怠い空気とすごく合って、愛聴盤になった(ってこのフレーズ多いな)。
特にナイス・フィーリン、原曲のゴスペルっぽいアレンジもいいけど、リタ・バージョンのしっとり具合も最高で、スネアにかかったリバーブが部屋の広さまで映像化してくれて、そして彼女の声がいい湯加減で。イントロのギターも最高だ。
当時そんな言葉なかったけど、彼女の声はあの時の僕にとってまさに「癒し系」だった。
声といえば。聴いてるとふと寺田恵子を思い出してしまう。似てない?リタはその後日本のポップスのカバー集の仕事もしてるけど、私は嵐とかやってくれたら面白かったんじゃなかろうか。寺田恵子がゴスペル歌うのも聴いてみたいけど、そっちより可能性がありそうな気が。しないか。
当時ニール・ヤングの「時は消え去りて」はCDもLPも輸入盤ですら再発がなかったから、「過去への旅路」はこっちを先に聴いた。いい曲だなーとなんとなく聴いてたが、大学に入ってからニールのそれを聴いた時、Back To Tennessee という歌詞が Back To Canada になってて、ささやかだけど、なんか感動した。
日本の歌手は人の歌を歌う場合、性別が違ってもそのまんま歌うのが当たり前なのに対して、外国の場合は人称の性別を自分に合わせて変える。それは認識してたけど、地名など固有名詞まで自分の言葉に変えてカバーするなんて。その事にすごくロック心を感じた。仕事じゃないっていうか。
でもリタの1stのCrazy Loveのカバーは、SheがHeになるだけでなんかスカっと気合いが抜ける感じがして、違和感があったけど、それはそれで面白くもあった。摩擦音ってとても重要なんだなって思った。
「我が道を行く」もこれが初めてだったなー。原曲、あんな気合いの入った曲だとは思わなかった。
僕の親父さんは女性ジャズボーカルが好きで、よく「最後は女性ボーカルなんだよなー」みたいなことを言ってたので、リタ・クーリッジにハマった時には「あーこれで僕のロックの旅も終わったんだろうか」なんて思ってた19歳。
まあ後にマーブルシープに入った入りして、それまでまったく知る事がなかった世界がそこにはあって、それがずいぶんとひどい早とちりだったとわかったのであったよ。
これ、CD再発って日本だけなんだねぇ・・・なんてことだ。
ピース。
(2024-03-05)